アスペルガー症候群の人はコミュニケーションや臨機応変な対応が苦手な傾向があります。
その特性と職場の環境がうまく合わずに、仕事が続かないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
アスペルガー症候群の特性は一人ひとり異なっているため、自分の特性を把握して、マッチする環境で働いていくことが大事になってきます。
この記事では、アスペルガー症候群の特性や向いている仕事について紹介します。
アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)とは
2013年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」の診断名のもとに統合されました。
現在『DSM-5』での診断区分では、アスペルガー症候群という診断名は自閉スペクトラム症に含まれておりますが、この記事ではアスペルガー症候群として掲載します。
アスペルガー症候群は、「対人関係やコミュニケーションの障害」「パターン化した興味や活動」などの特性がある発達障害です。
ひとつずつみてきましょう。
対人関係とコミュニケーションの障害
アスペルガー症候群の人は、他人とのコミュニケーションに困難を抱えることが多くあります。
身振りや顔の表情から相手の気持ちを読み取ることに難しさがあったり、コミュニケーションが一方的であったり、周囲が困惑するような行動をとったりすることがあります。
「暗黙のルール」や「その場の空気を読む」ということが不得意で、言葉を文字通り解釈して行動する傾向が多く見られることがアスペルガー症候群の特徴です。
パターン化した興味や活動
アスペルガー症候群には、特定の物事に対しての没頭やこだわりが強いという特徴があります。
特に自分なりの日課や手順にこだわることが多いため、急な変更や予定外の事柄に対する臨機応変な対応が苦手です。
決まったルールやスケジュール通りに進まない場合には困惑してしまい、ときにはパニックに陥ることもあります。
一方で、興味を持ったことに対しては、高い集中力や記憶力を発揮します。
自身が納得できるまで追求するため、特定の分野で深い知識を持っている人が多いことも特徴です。
アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の人が仕事が続かない理由
アスペルガー症候群の人が仕事が続かない理由に、対人関係でうまくいかない、職場環境と特性が合っていない、などがあげられます。
同僚や上司、お客さんとのコミュニケーションがうまくいかずに、仕事に行くのが辛くなり、そのまま仕事を辞めてしまうという人もいます。
そして、転職を何度も繰り返して、なかなか仕事が続かないという状況になってしまうのです。
また、職場の環境と自分の特性が合っていないことも考えられます。
同僚や上司は自分の特性のことを考慮してくれるいい人たちでも、仕事内容が臨機応変なことが多い仕事の場合、アスペルガー症候群の人にはきつい仕事でしょう。
「アスペルガー症候群=仕事が続かない」というわけではありません。
自分の特性を理解し、特性に合った環境を見極めることが大切です。
それでは、アスペルガー症候群の人に向いている職種についてみていきましょう。
アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)に向いてる職種
アスペルガー症候群の人に向いている仕事内容に以下のような条件があります。
・興味関心の高い分野の仕事
・パソコンや機械の操作の仕事
・マニュアルやルールが整備されている仕事
・高い集中力を維持することが求められる仕事
・一人でできる仕事
一方で、以下のような仕事は向いていないと考えられます。
・予測不可能なことに対応しなければならない仕事
・臨機応変な対応が求められる仕事
・複数の要求を短時間で処理する必要がある仕事
・コミュニケーションをメインとする仕事
・チームで動く仕事
このような条件を考慮すると、プログラマーやシステムエンジニアなどのIT関連の職業は向いているといえるでしょう。
また、機械整備や清掃員など、黙々と決められたことをする仕事にも向いています。
接客がメインとなるサービス業は予測不可能なことが発生しやすいので、それを考慮した上で転職活動をしましょう。
困ったときは1人で悩まずに相談しよう
アスペルガー症候群の人が、仕事や生活の悩みを相談できる福祉サービスやサポート団体はいくつかあります。
そのなかのひとつに、就労移行支援というサービスというサービスがあります。
就労移行支援では障がいのある人が一般企業への就職に向けたトレーニングをおこない、働くために必要な知識やスキルを習得し、就職後も職場に定着できるようサポートをおこないます。
もし転職活動がうまくいかない場合、このような福祉サービスを利用することで、自分に合った職場に出会える可能性が高まるので、ぜひ相談してみてください。